新会員紹介(「明吟おおさか」令和2年2月号より転載)

横田 典明
 「富士山」をめざして
「仙客来り遊ぶ 雲外の巓・・・」
 私がはじめて詩吟に触れたのは、10年以上も前になります。会社の元上司に誘われて、業務の定時後に会議室で行われている詩吟の練習会にはじめて参加しました。その時の吟題は「富士山」でした。それまで、詩吟はおろか、カラオケ以外音楽には縁のない人生を送ってきたので、心配は的中しました。「声がでない・・・」やはり自分には向いていないと思って、それ以降練習会には足が向きませんでした。

 富士山といえば日本一高い山ですが、それまで登山経験もなかった私ですが、関東への単身赴任をきっかけに同僚から誘われて、富士山登頂をめざすことになりました。当時メタボな体の私が本当に登れるのか大変心配でしたが、練習登山を何回か繰り返すうちに、当初の酷い筋肉痛を克服し、登山隊長の暖かい指導の下、最後には富士山登頂を達成することができました。つらい練習に耐えられたのは、登頂できた時の達成感や頂上からの美しい景色、そして、ともに同じ時間を過ごせる同僚が力づけてくれたからだと思います。

 一度は1回で挫折した詩吟ですが、再度元上司の先生から詩吟の練習会に誘われて、今年からまた挑戦を始めました。詩吟を登山にたとえると、隊長(先生)や同僚(先輩)もおられます。登山で大切なのは、高山病にならないように、急がず、一歩一歩ゆっくり進むことだと、富士登山で学びました。あきらめずに進んでいけば、いつかは登頂して美しい景色が見られるのかなと思います。

 先日の淀川・東淀川連盟45周年記念大会にて「合吟の部」に参加したのですが、その時の吟題が「富士山」です。先輩方に先導していただきまして上位入賞できました。まだ登り始めたばかりですが、詩吟の山の景色が少し見えた気がしました。
「・・・白扇倒に懸る 東海の天」

師範代紹介(「明吟おおさか」令和2年2月号より転載)

永田 紫慧先生
 残念ながら詩吟に強い意志を持っての入門ではなく「なんとなく」の流れでの入門。そんないい加減な動機での入門だが、今日まで約15年間続いているのが不思議である。
小学校の卒業の日に校長先生が「偶成」を黒板に書いて説いていたのを、強い印象を持って今でも覚えている。「少年老いやすく学なりがたし・・・」のあれである。その時はその深い意味は理解できず今日に至ったが、最近「偶成」を吟じる機会があり、今更ながらその深い意味を知ることとなった。
 「ボーっと生きてんじゃねーよ!」が流行っているが、まさに「偶成」の意味するところである。

  詩吟は、人の喜びや悲しみ、自然の美しさや歴史と教訓が凝縮されている。「李白のようにお酒を飲んで、詩を作って一生を送る人生」とは縁遠い現代であるが、当時を想像しながら吟じるのもなかなかよい。
今では、漢詩の味わいに触れることができる詩吟に出会えてよかったと思っている。腹式呼吸等による新陳代謝の促進など、フィジカル面でのメリットも多いと実感している。インナーマッスル(体幹)が鍛えられるという最近の説もある。多くの仲間とコミュニケーションができるなど、メンタル面でのメリットも多い。

 詩吟は、敷居は低いが奥が深いとつくづく思う。だれでも始められるが一生を掛けても到達できない奥深さがある。声を出すことに無頓着で、さほど意識などしたことがない私には、声を届けることの難しさを痛感している。この克服は、私にとっての長く、大きな課題である。
 自身の能力の限界を知りながらも、自身の中では無限に向上(後退することも多いが)続けることができる詩吟。やっててよかったなーと思える日がくるまで続けていこうと思う。

参加感想文(「明吟おおさか」令和2年2月号より転載)

山本 紫ォ先生(愛連吟詠フェスティバルに参加して)
 昨年の流行語大賞に「ワンチーム」が選ばれたのは年末のホットなニュースでした。詩吟でもチームを組んでの吟詠、合吟があります。私は昨年、合吟に参加する機会を3度得ることができました。
 そのなかでも3月3日に開催された「愛連吟詠フェスティバル」でのあましんアルカイックホールの舞台に立たせていただいたことが最大の喜びです。
稲垣紫淑先生も出吟された平成30年度愛連上位入賞者吟詠、各府県選抜者吟詠等に続いてプログラムされた構成番組「世界遺産富士山詩聚吟」の中での大阪府詩吟連盟男子として乃木希典作「富嶽」を吟じました。
本番前日のリハーサルで初めて顔を合わせた各流派推薦の22名が如何に気持ちを合わせ「ワンチーム」となって吟じられるかが課題です。
リハーサル前に大阪府連理事長の中尾仁泉先生の指導で、言葉を切ること、節調はシンプルに、他の人の吟も気にかけて等のご注意をいただきながら、練習を行い、リハーサルに臨みました。
翌日、いよいよ本番です。奈落からせり上がり、スポットライトを浴びたとき、緊張は最高頂に達しました。しかし、2分間無事吟じ終え、観客の皆さまから温かい拍手をいただき、充実感に浸ることができました。
この様な貴重な機会をお与えいただいた稲垣紫衣先生、そしてご支援いただいた皆様に感謝です。ありがとうございました。

師範代紹介(「明吟おおさか」令和2年2月号より転載)

2015年1月 並川 紫會先生
入門のきっかけ 会社の先輩から、「稲垣(紫衣)先生に詩吟を教わっているんだけど、並ちゃんもやらないか」と声をかけていただいて、練習場に同席させていただきました。
先輩は「本能寺」の練習をされていましたが、元々好きだった漢詩が、節をつけて詠うことで、詩情がこんなにもすばらしく表現できることに感動しました。
あなたにとって詩吟とは 今では、日常生活になくてはならないものの一つです。
吟はなかなか上達しませんが、詩吟との関わり(漢詩、師範、先輩等)を通じて、物の見方がいい方に変わってきたように思います。
紫号を取得しての心境は こんなことになるとは思っていませんでしたので、戸惑っています。
しかし、紫号を頂いた以上、吟力向上に努力すると共に、詩吟に関心のある方を入門に導き、会員の増加を通して会の隆盛に貢献していきたいと思っています。
今後の決意 責任は重大ですが、先輩の先生方が大きく育ててこられた明吟会のブランドを汚さないようにしないといけないと思っています。
また、ここまで育てていただいた師範をはじめ諸先生、先輩、教室の皆さんのご恩に報いるよう、さらに精進していきたいと思っています。

2015年1月 寺浦 紫松先生
入門のきっかけ 20数年前に勤務していた会社の上司であった平石先生に二年ほど、たびたび誘われて、定年後の趣味としてもよいかなと考えて、稲垣紫衣先生に入門させていただきました。
あなたにとって詩吟とは 人との交流、発声や複式呼吸、姿勢などで心技体を調整し、生活のハリを作ることを旨としています。
紫号を取得しての心境は 自分にとって思っても見なかった高みに立たせていただいていると、足が震える思いです。覚えが悪く、回り道の好きな性格を寛大に見守って、ご指導いただいた稲垣先生や本番での失敗を優しく励ましていただいた同じ教室の皆さんに感謝しています。
今後の決意 稲垣先生よりお教えいただいた、吟道への心得や、練習時等の自己メモを初心にかえり反復して読み返したりして、他の人にも役立てるように精進していきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。